cave hatano

醸造家のひとりごと

何年先の未来を考えて生きてますか?

2025/12/09

いつ誰に言われたかは覚えていないが

「あなたは普段の生活や仕事の中でどのくらい先の未来を考えて生きていますか?」

と聞かれたことがある。

ワインメーカーという仕事上、ブドウ畑を植栽する時は少なくとの15年先は見ているが

普段でも短くとも2〜3年先は見通さなければワイナリー運営はできない

現代では稀な気長な職業のワインはさておき、それ以外の生活を考えてみる

食料自給率がかなり高い我が家では野菜はもちろん、米も味噌も冬に必要な薪も自己調達

野菜は3カ月〜1年くらい(畑作り〜種まき〜最終収穫まで)

米は1年、味噌は1年〜2年、薪も1年

スーパーでその日、食べるものを買う生活からすればかなり長いように思えるが

昔の人からすればまだまだ短い

大工様の話では50年先に子や孫が家を建てるために木を植えたり

式年遷宮などでは20年ごとの社の建て替えを1000年以上継続している

ガウディのサグラダファミリアは予定を大幅に短縮して完成してしまったが

本来であれば完成まで数百年かかる予定だった

政界では「今だけ、金だけ、自分だけ」などという言葉がよく聞かれるが

現代社会の象徴とも言える言葉だと思う

自分たちの土地、地域から恵みを得て、常に数年、数十年先の未来を考えて生きる

いや、考えなければ生きられない

そんな生活の中では次の世代に無責任に生きることなど到底できない

信州の山の中でこの暮らしを実践して一つだけ言えることがある

「先を考える生き方と心の豊さは比例する」

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