cave hatano

醸造家のひとりごと

2021 秋 畑総括

2021/11/19

近年では記録的な低温と日照不足の8月が過ぎ

例年であれば暖かい千曲市の農家さんから収穫の気配を知らせる葡萄の分析値が送られてくるのですが、この秋の数値は例外で、全く酸が落ちず、まだまだ収穫を引っ張れそうな状況でした。

さいわい、日照不足であったにも関わらず糖度はそこそこ上がっており、むしろ例年の猛暑と比べると葡萄の生育にはストレスがなかった様です。

この事からも、現在、日本で主流になっているワイン用葡萄品種がいかに夏の高温多湿と夜温の高さに適応できていないかがわかります。

近年ようやくフランス産の伝統的な品種に限らず日本の気候にあった新しい品種を試す動きが出てきましたが、早くこの国に合った品種とオリジナリティ溢れるワインのスタイルが確立されれば良いと願います。

ところで、この日照不足と低温は、長年の目標であり今年から始動した稲作にとっては好ましく無い条件で、出穂と共に開花するこの時期に低温や雨が多いと受粉不良や病気の要因になり不作になりやすいとの事ですが、、、調べてビックリ! 農水省の作況指数(平年比の収穫割合)によるとタイ米が流行った平成5年に74%を記録して以来、約30年間で一度も90%以下を下回っておらず、ほぼ毎年95%~105%で推移しています。

ワイン用葡萄は2割減など当たり前、品種によっては半減なんてことも珍しくなく、主食である穀物と果実の違いや適地ではない植物を育てる事の難しさを考えさせられます。

話を戻して、9月半ばから天候は好転し、1週間晴れて1~2日雨が降る、人にとっても作物にとっても最も都合の良い日が続き、この養分を蓄積しやすいサイクルは10月に収穫を迎えワイナリーに運ばれてくる葡萄に素晴らしい色と味わいを与えてくれました。

自家農園鞍掛の葡萄も春の虫害で収穫量は減ったものの品質としては2017、2019と並びとても良いワインになるのではないかと期待しています。

それから心配していたお米も10月の超過密日程の中で、無事収穫。

無農薬、無化学肥料栽培で始めた一年目でしたが収穫量は予想以上。2年目からが本当の勝負だとは思いますが、とりあえずひと安心でした。

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