cave hatano

醸造家のひとりごと

5周年 垂直テイスティング

2022/12/01

おかげさまでCAVE HATANOは2022秋に5周年を迎えました。

ただでさえ厳しいワイナリーの開業初期に、非常に厳しい社会情勢が追い打ちをかけ

一時は事業の継続に不安を抱く日々もありましたが、こうして5周年を迎えられたことで

高いハードルを超えた分、より強固な地盤が築けたのではないかと感じています。

また開業よりCAVE HATANOを応援し、ご愛飲してくださった皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

 

先日、その5周年の記念に過去の在庫ワインをほぼ全て抜栓し、垂直・水平テイスティングをおこないました。

その数、総勢30種類以上。 自分で言うのもなんですが壮観でした。

・月日と共にワインがどのように変化していくのか

・ヴィンテージごとの気候の特徴と、そのワインがどの様に熟成していくのか

・自分の造りがどの程度、酸化熟成に耐えうるのか

・栽培、醸造の変化がどのようにワインに表れているか

改めて一斉に比較することで見えてくるものがあり、勉強になりました。

 

シャルドネ

2017  酸と複雑味が最も強くとても良いヴィンテージ。還元的だが時間と共に熟成香がしっかりでてくる。

2018  猛暑で酸が最も落ちた年、4年が経過しワインはかなりフラットになってきている。

2019  ブドウの持つ果実香が減退し塾成香もさほどでておらず、いいわゆる閉じている状態。酸弱め。

2020  フレッシュな果実の香りとシャープさが残りつつ少しずつ柔らかくなってきている。

2021 (12月発売)香り爆発、過去5年の中で最も熟度の高い香りと旨味。やはり最もシャープ。

 

メルロー

2017  栽培技術が未熟で青臭さと苦味が目立つ。全く酸化はしていない。

2018  瓶詰め時のSO2がかなり少なかったが酸化していない。猛暑で酸も落ち旨味と甘みを強く感じる。

2019  色の濃さ、酸の強さ、凝縮感が最も強くポテンシャルの高さを感じる。数年後が楽しみ。

2020 (12月発売)ヴィンテージとしてのブドウの凝縮感はやや軽め、まだ還元的で飲み頃はしばらく先。

 

これだけ多くのワインを抜栓しましたが酸化しているワインは1本もなく(むしろ白はほぼ還元)

良くも悪くも当ワイナリーの還元的(酸化の逆)な造りとスクリューキャップの特性を改めて感じました。

また白に関しては飲み頃をいつに設定するかで、ブドウの酸をどの程度残すべきかの課題も見えました。

赤は栽培、醸造の良し悪しで大きく変わる事と、熟成するほど良くなっている傾向にあるので今後の経過が楽しみ。

思いの外、自分にとっても学びの多い機会になったので形式は変わっても毎年開催したいと思っています。

 

最後に、最も面白い発見は翌日に。

私は、お酒はあまり強くなく、特に多量のワインを飲んだ翌日はかなり辛い思いをするのが常ですが

今回、相当量をテイスティングしたはずの翌日に酔いは全く残っておらず、スッキリ起床。

普段からワイナリーの中で同じ空気を吸い、共存?しているワイン(アルコール)には耐性があるのではないか?

と感じずにはいられない体験でした。

 

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